好きなことを仕事にしたい。好きなことをやりたい。好きなことがあれば楽しくなるはず。そう思って「好きなことを見つけたい」と考えていませんか?
実はその考え方、逆効果です。
「好き」を見つけるためにやるべきことは、「何が好きなんだろう?」と探し始める前に「嫌い」を明確にすること!好きなことは見つけるというよりも削ぎ落とされた結果「浮かび上がってくる」ものだから。

コーチングセッションの中で「好きなことを見つけたい」という相談をたくさんもらいます。かと思えば「好きなこと」についてはまったく話にも出ず「やりたいことにどのように向かうか?」についてがテーマな方もたくさんいます。
この違いはなんだろう?なぜ好きなことを見つけようと思って、それに向けて行動しているのに見つからない方がいるのだろう?かと思えば、もう既に「好きなことがある」のが前提で、その実現方法を模索する人がいるのだろう?
その違いを観察して行く中で分かったことは、好きなことが見つからない時に共通する理由があることでした。それは
- 我慢することが当たり前になっている
- 行動量が少ない
- 自分の感覚に自信がない
我慢を当たり前にしないで
「ここに行きたい。そのために、今は我慢する」という目的を明確にして取り組む踏ん張りと、「しょうがないから、我慢しよう」というあきらめて耐えることは、大きく違います。
「好きなことが分からない」という悩みを持つとき、「これくらい我慢するのが当たり前だ」という前提が眠っていて、嫌なことややりたくないことを感じないようにしている、もしくは認識していても「何も対処しない」という状態にいるタイミングに、この悩みを持つ方が圧倒的に多いのです。
我慢することが必要なこともあれば、有効な場合もあります。ただ、目的のない我慢や、意志のない我慢は、私たちの大切な「好き/嫌い」という感覚を鈍らせて行きます。
「好きなことだけやって生きていこう!」と言いたいわけでもなければ、「嫌なこと、やりたくないことはやる必要はありません!」と伝えたいわけでもありません。そうではなくって「嫌なことは嫌なこと」と認識して「自分はそれにどう対処したいのか」を自ら選択する必要があります。我慢することを、当たり前にせずに。
刺激を楽しむ。
好きなことを見つけている人たちの共通点は「いろんなことを試している」ことです。「好きなことを見つけたい!」と思って動いてみたら1アクションで巡り合える…なんてことは、どう考えてもなさそうです。
趣味であれ、仕事であれ、好きなことや没頭できることを持ち、楽しんでいる人たちは「好きなことを見つけよう」と考える前にもう動いているんですよね。「気になる」と思ったら試してる。「面白そう」と思ったら出かけてる。そうやって行動することが習慣になっていて、本人にとっては行動することが当たり前すぎて会話にも出てこないくらいです。ひょんなことから話が出てきて、よくよく聞いてみるとその行動量に驚かされる、なんてことがたくさんあります。
ただそういう方たちも、元々行動的だったわけではありません。あるきっかけや、問題意識を持ったことから行動・選択・意識を変えて取り組み始めています。それがいつしか新しい習慣となり、気づけば刺激を楽しみながら好きなことを見つけるループに入って行ったのです。
その中には、失敗や「もうあれはやりたくない。」と思うような体験もたくさん含まれています。ただそれと同じだけ新しい発見や面白い・楽しい出来事に遭遇します。好きであれ、嫌いであれ、刺激を受けることは「好きなこと探し」には必要不可欠なのです。
あなただけの感覚に、自信を持っていい
「好き」という感覚はあなただけのものです。自分の感覚を、自分が信じてあげなければ「何が好きなのか」という判断を下すことができません。
好きなものが分からないとき2パターンが考えられます。
- 自分の感覚を「キャッチしづらい状態」になっている
- もしくはキャッチしていてもそれを「自らが否定」している
このどちらかです。あなた自身の感受性のアンテナを「鈍化」させてませんか?あなたが感じたことは、あなたにとっては紛れもない真実です。誰かに合わせる必要もなければ、誰かに証明する必要もありません。誰かに「いいね」と認めてもらう必要もないのです。
ただ自分の心が感じるままに「いいな」「楽しいな」「好きだな」ってことを感じて、その気持ちに自信を持っていいんです♪
「嫌いなこと」を明確に

我慢していることに自覚的になると「こんなに嫌なことがたくさんあるのか!」と愕然とするかもしれません。
行動してみようとすると、何をしたらいいのか分からなくて立ち止まってしまったり、動き出したはいいけど最初はうまくいかず困惑するかもしれません。
自分の気持ちや感覚に意識を向けてみようと決めても、もやもやしか感じられなかったり、ネガティブな気持ちばかりを拾ってしまう自分に遭遇するかもしれません。
でもそれが大切なんです。なぜなら「好きなこと」を見つけるためには「嫌いなこと」を明確にする必要があるからです。そして好きという感覚を自由にキャッチするためには、同じだけ嫌いの感覚をキャッチする力を持たなければいけません。
本当は嫌なのに、我慢していたこるはなんですか?怖いし不安だけど、やってみたいことは何ですか?行動してみたら嫌なことにも出くわすかもしれません。ネガティブな気持ちでいる時間の方が、長いことに気がついてしまうかもしれません。
でも、嫌なことをはっきり、しっかり感じること、自覚することが「好きなこと」を見つける何よりもの近道。嫌なものは「いや!」と思いっきり思いましょう。そして嫌だ!と思ったこと、頭の中にあるものは、全部書き出しちゃいましょう!
感情は直感的に、行動は意識的に

「嫌だと認めたら、今のままではいられなくなりそう。」と不安に感じる方もいらっしゃいました。でも大丈夫です。「嫌だ」と思うことと、その気持ちをどう表現するかは別物です。
「嫌だ」と感じても、それでも「やる」という選択もあります。やっぱり「辞める」を選ぶかもしれません。「やるけど違う方法を生み出す」かもしれません。「感じること」と「行動すること」は別物です。
行動は、自らの意志で選んでいくことができます。だから「嫌なことを」も安心してキャッチしてみてください。嫌いなことこそ、自分の「好き」に気づくためのギフトだから。
「好き」は浮かび上がってくるもの

自分を知るために何よりも最初にやるべきことは「断捨離」です。嫌なこと、苦手なこと、本当はやりたくないこと、それらを明確に自覚することから始まります。
自分自身に我慢をさせずに「嫌なものは嫌」と受け止め直してみましょう。行動を通じて「イヤ」と「スキ」の刺激をたくさん感じてみましょ。そしてその感覚を信じてみませんか?
「残ったもの」の中に答えは眠っているはずです。