幼い頃の思い出には、いいことも悪いこともあるけれど、大人になった今、改めてその思い出を包み込んであげることができたなら。
今回のテーマは〈過去のささくれ〉。
ご一緒させていただいたハルさんとの、ある日のセッションをお届けします。前半では〈セッションの様子〉を、後半は〈過去の整理方法〉についてです。

ー今日はバイオリズムとしてちょっと停滞というか…八方塞がりのように感じられる状態ということでしたね。
ハルさん:
「そうなんです。ベースを変化させたいと思いながらも、過去を思い出してその感覚に戻ってしまったり、それで焦ってしまったり悶々としているような状態です。今日は、過去を整理するのをご一緒してもらって、ハッピーになれるヒントを見つける時間にしたいと思っています。」
ーそうなんですね!OK!
具体的には過去のことってどんなエピソードが出てきたんですか?
ハルさん:
「幼稚園の時に、4人組で仲が良かったんですがそのうちの1人、Aちゃんは元々Bちゃんが好き、というか気に入られたいような雰囲気があったんです。ある時、その4人でプレゼント交換する会があったんです。すると、その時にAちゃんは“Bちゃんにもらって欲しい!”って言い始めたんですね。その瞬間をすごい強烈に覚えていて。
その時の私は幼稚園生ながらに“そっか、そっか”って言っていて、他のみんなも親同士も“じゃぁ、その他のみんなで交換しようか”ってスムーズに進んだんです。ただ…すごく恥ずかしかったんです。“私じゃないんだな”とか”私のは嫌なんだ”というように、〈自分には価値がない…〉とその時は思っていなかったと思いますけど、過剰に捉えてしまって。
それに、私自身について何か言われたわけではないのに“一緒にいたお母さんにも悪いな”と思ってしまった部分もありました。一瞬の、何十年も前の出来事なんですが、ふと思い出してしまったり、その後の学生時代の人間関係がうまく行かなかったと感じていることにも、何か関係があるような気がして。それでこの過去の出来事を整理したいんです。」
ーそうだったんですね。
ちなみに、何が関係ありそう…でしょうか。
ハルさん:
「友達が“この子の方が、私よりもいいんだろうな”って思うクセがあります。
3〜4人になるときに、自分も人に順位をつけちゃうし、相手からの順位もどこか気にしていて。“この子から私は何番目なんだ”って…勝手にわかった気になっちゃうんです。“私よりも、あの子に好かれたいんだな”と思うと残念だし、自分から離れてしまうこともありました。
あ、もう1つ似たような出来事を思い出しました。このまま話しちゃって大丈夫ですか?」
ーうん、大丈夫ですよ!
ハルさん:
「もう1つは、小学生の時なんですけどある友達に誕生日プレゼント渡しに行こうとしたことがあったんです。賑やかにしている中で“Cちゃん!”って呼び止めたら、“ちょっと待って”って言われたんですね。その時に“あ、あの賑やかにしているノリを待たないと、私と話したくないんだな”って思ったんです。
後でプレゼントを渡したら、喜んでくれたんですけど、選んだ時間を思い出して悲しくなったり“私って優先度低いんだな〜”って思ったんです。幼い頃の方が“自分は優先度が低いんだ”って思う出来事が多かった気がします。それで何かを持っていないと、天性の人気がないといけないと思ってたし、仲良くなりたい人とは仲良くなりにくくて、仲良くなりたい人とは仲良くなれないって思っていました。
最近そういうのを思い出すことがあって、時間かかるかもしれませんが1つ1つ向き合っていきたいなって。そうすると何か見えるかなと思って。それで今日はこのテーマにしたいと思ったんです。
悲しかったことが面白くなる

ー前回セッションの際に、物事を見る視点を増やしてみることについてお話しさせてもらいました。
ー今話してくださったのは、どの視点から見ている風景ですか?
ハルさん:
「〈3:客観〉傍観者の視点から…かなぁ。」
ー今、思い出して話してもらう中でもちょっと涙ぐまれている瞬間もありましたね。感情が動くってことは…
ハルさん:
「あぁ!〈1:自分〉私自身の視点からですね。」
ー例えば、カフェの隣の席に幼稚園生の女の子たちと親御さんたちがいてまさに「私はこの子にプレゼント渡したい~!」って言っている子がいたら…どう見えそうですか?
ハルさん:
「わがままだなと思いますね。」
ーそれは、何に対してでしょうか。
ハルさん:
「渡したいって言っている子に対してです。3人いたら入ってない1人が気になって、かわいそうだな。その子のこと考えないのかな。無神経だな…と。」
ー出来事を見る視点でいうとそれは〈2:相手〉の視点ですね!
では次に「こういう人、いるよね~!」「こういう出来事、起こるよね~!」というくらいの距離感から改めてそれを眺めてみると、どう見えそうですか?
ハルさん:
「(笑)イメージしてみた瞬間…面白くなりますね。」
ーそうでしたか!
試してみてもらいたかったのは〈3:客観〉の視点です。傍観者のような距離感で見るとどう見えるかを実感してもらいました。ここでいう傍観者とは「わがままだな」とか「いい/悪い」などのジャッジもせず、ただその事実を見る視点です。
ハルさんはさっき、隣にいる知らない人のやりとりにもかわいそうだな。無神経だなと、その内の1人の子の気持ちに立って出来事を捉え、話をしてくれました。それは自然とから、人の気持ちを考えることができる、相手の立場になって考えることができるということです。普段から〈2:相手〉の視点で見る習慣があるということかもしれません。それは共感力が高い方の強みの特徴です。
最初に実際にあった出来事として話してくれたときは、それは〈1:自分〉ハルさん自身の視点からでした。
「ちょっと待って欲しかっただけだったのか」というのが〈2:相手〉の視点。
「そういうこと、あるよね。」というのが〈3:客観〉の視点です。
〈1:自分〉から見ていると真剣なことでも〈3:客観〉視点からみるとぷぷっとおかしくなっちゃうということってありますよね。感覚が変わっちゃうというか。高校・大学時代の話もありましたが、改めて〈2:相手〉視点で見てその当時の出来事を思い出してみると、どう見えそうですか?
ハルさん:
「私といる時も楽しい時は楽しい。そのときはたまたま別の友達といただけだよね、という感じに思えます。」
ーそれをさらに〈3:客観〉視点で見てみたら、どうですか?
ハルさん:
「え?一緒に遊んでるじゃん、たくさん。という感じがしました。笑」
ー〈1〉~〈3〉までの視点を全部理解した上で、もう一度〈1:自分〉視点に戻ってその出来事を思い出してみたらどうですか?
ハルさん:
「やきもちを焼いてたんだな~。ちょっとわがままな話で、こっちにもっと時間割いてくれたらいいのになと思っていたんですね。でもそれも言えない。だからそうやって、捉えていたのかもしれません。」
ーでは、さらにその上で〈3:客観〉視点から、そういう人を見てみたらどうでしょう?
ハルさん:
「素直に行けばいいのに…。笑」
ーあはははは!どうしたらいいか…シンプルに結論が出てしまいましたね!笑
新しい視点を手に入れた!

ハルさん:
「え〜!すごい〜ひねくれてますね。」
ーえ!ひねくれてるってまたそこにジャッジを入れる必要もないんじゃない…かな?ちなみにひねくれてるな〜というのは、どの視点だと思いますか?
ハルさん:
「〈2〉相手の視点ですね。」
ー確かに「こう見られているだろうな」って思う〈2〉相手の視点を、自分の中に取り込んで見ていますね。
ハルさん:
「私それやっていること、多い気がします。プレゼントの話でもありましたけど、お母さんの視点でも考えなきゃと思っていたところがありましたね。」
ーお母さんという〈2〉の視点を、自分の中に内在化することが習慣になっていたのかもしれないですね。
ハルさん:
「察してあげなきゃいけない病になってたと思います。
だから察する能力はあるけど、その分私は辛い…っていう風になっていました。」
ーそうだったんですね。〈1〉〈2〉の視点にすぐ入れるという強みはそのままに、そこに〈3〉の視点をプラスするってことを練習して、習慣化していけるといいですね。
そうすると「自分で順位をつけている」という自分自身の状態にも気付きやすくなったり、「相手からこう思われている」というのも、ある意味思い込みであり、決めつけているということに気付きやすくなりますね。
スイッチを「パチン!」と切り替えるように、視点をパンっ!と切り替えて、自分も含めた人形劇を見るようなイメージで♪
ハルさん:
「楽しそう!〈3〉の視点を手に入れた!みたいな感じです。笑」
ーいいですね。その感じ。RPGゲーム的な!
やってみて、またいろんな発見が出てきそうですね。うまくいく場合と、そうじゃない場合も出てくるかもしれない。またその〈違い〉にヒントが隠れていると思うので、まずはいろんな出来事においてパチン!と視点の切り替えをしてみましょ〜。
ハルさん:
「え~。サクサク進んで嬉しい!また出てくるかもしれないけど、新しい視点で、倒していっちゃいますね。」
(つづく)
▼目次
前編:過去のささくれ
後編:過去は整理して、上書き保存
▼コラム〈Session Window〉